Tuesday 20 August 2013

OGMIOS

尊敬する数少ない友人の中にIVANという男がいる
ロンドンに1年しか住む予定のなかったおれを結局4年もとどまらせた原因のひとつ
おれはこの男と約3年間家をシェアした
そのころシャドウェルに住んでいたおれはちょうど一緒にフラットをシェアしてたマータというポーランド人の女に嫌気がさしてて、
最終的にアクシデントでトマトのビンを割ってしまったのを合図に完全なケンカになってしまった
彼女より後にそのフラットに入ったおれは、家を追い出されて何週間かホームレスになった
いろんな家を下見に行くなかで11件目にであったのがIVANが住んでいる家だった
その日すでに2件見に回っていたおれは結構疲れていて、IVANの家に着いたのは夜8時すぎだった
67番目の黒いドアの家がおれの家、ブザーないからノックしてくれってtextが入ってて
67って描かれたドアをノックすると背の高いスキンヘッドの男がでてきて、それがIVANだった
まあ入れよって中に迎えてくれた
入ってすぐの左の部屋にレジスっていう黒人が住んでいて、スケボー片手のおれにサーフィンの話をしだした
その次のキッチンの手前の部屋にスティーブが住んでていきなりビールを渡された
その部屋のソファーにカヤっていうヒッピーと猫が2匹寝てた
家の中はお香の匂いとなんともいえない心地のいい雰囲気で決してきれいとはいえなかったけどすぐここに住みたいと思った
その前まで家を下見に行くときはだいたい15分ぐらいで家の中を見終わって帰っていたけど
その日その家ではあたりまえのように人が集まり、ギターとジャンベ、ラップセッションが始まって結局時間を忘れ、おれは腰に下げていたアサラトでセッションに混ざり、2時間近く滞在した

今はすこし変わってしまったけどあの頃のあの家の話はつきないほどある
人種、色、入り交じった8人と2匹でひとつの家をシェアしていておれたちは2週に一回必ず会議を開いて、庭に何を植えるかだとか、壁を何色に塗るかだとか、お互いの活動、次のエキシビジョンやgigはいつなのかだとかって話を必ずした

そのコミューンの中心となっていたのがこのIVANという男
おれが出会った時28くらいのはずだったけど、すでにスキンヘッドでビーガンだった
今考えたら28歳であんな目をしたやつにはあったことがない
出会って半年後にロービーガン(肉どころか火が通った飯すらくわない)になって
1日に大量のミックスジュースとサラダを4回食べていた(今もその生活を続けている)
IVANはOGMIOSという名前でラップをやっているのだけど、よくも悪くもアナーキストな男で
テレビや新聞はもちろんみないし、自分が生まれたノースロンドンからほとんど外の世界に出ない
更にナチュラリストで電磁波が強すぎるという理由で電子レンジが家になかったり
公共の交通手段はほぼとらない
ガーデニングが生活の一部でCRASSのジーやペニーとも音楽ではなくナチュラリストの面で繋がっていて、
DIAL HOUSEにも数回行ったことがあると言っていた
そして街のほとんどのひとが挨拶するほどなぜか有名な男だった

あるとき家のうらにある、一周するのに30分はかかりそうなプライベートの大きな湖に2人で行く機会があって、夕日がすごくきれいだった
湖の岸に2人で座って、逆側に最近建った新しいマンションが昔はひどく汚いスクワットでそこでIVANが生まれ育ったことを話してくれた
親父がドラッグディーラーで小さい時銃を撃った話や、なぜ今酒もドラッグもやめてナチュラルな生活をしているのかも
今は亡きラミシスという猫をもらったときの話や、その時ロンドンで起こっていた若い黒人の暴動の話なんかもした


そんなおれたちのboss、IVANがロンドンでラップバトルに近年出場している
シリアスでユーモアと知性にあふれたあいつならではのスタイル


big up OGMIOS! with paradox shirt


The last picnic designed by PARADOX HIROTTON
http://ogmios.bandcamp.com


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